大きさや形の違う絵本が並んだ様子

この記事の要点

紙は画面上の白さだけでは選べません。光沢と手触りに加え、裏面の絵が透けて見えないかを確認します。使いたい紙の見本と色校正を組み合わせ、絵の雰囲気や読み方に合う用紙を相談しましょう。

コート紙は写真や鮮やかな絵の候補になります

印刷用紙は、原画を描く紙とは別に選びます。原画の紙肌を画像として取り込めても、本の手触りまで同じにはなりません。本文の絵をどのように見せたいかと、ページをめくる感触を分けて考えることが大切です。

コート紙は、表面に塗工という加工を施した紙です。光沢があり、写真や色の鮮やかさを見せたい場合の候補になります。過去作『No Glory Days』では、写真を背景に使った絵にコート紙が採用されています。

ただし、照明の位置によって反射が気になる場合もあります。読み聞かせのために本を立てるなら、見る角度を変えて確かめます。発色の良さだけでなく、読み手が文字を追いやすいかも見てください。

マット系塗工紙は光沢を抑えた絵に向きます

マット系塗工紙は、表面の光沢を抑えるように加工した紙です。落ち着いた色や、柔らかな雰囲気の絵を見せたいときに候補になります。紙の白さや手触りは銘柄によって異なり、「マット」という名前だけでは同じ仕上がりになりません。

過去作『mitsue's poem』では、クレヨン原画をレイアウトし、本文にニューVマットを使っています。『陽だまりの中の記憶』の制作紹介でも、ニューVマットの白さと、広い面を色で塗る絵との関係が説明されています。

これらは過去の紙選びの実例です。現在使える銘柄は見積もり時に確認します。また、マット紙なら裏写りしないとは限りません。厚さや絵の濃さ、裏面に置く絵との組み合わせでも見え方が変わります。

上質紙は紙肌を生かせますが濃い色は確認が必要です

上質紙は、表面を塗工していない紙です。ややざらついた手触りがあり、やさしい雰囲気の本に使われることがあります。「上質」という名称が、どんな絵でも他の紙よりきれいに印刷できるという意味ではありません。

過去作『Open Canvas』は、ポエムをもとに制作された絵本で、本文に上質紙を用いています。制作紹介では、その紙肌とともに、ベタ塗りやカラー印刷の場合には裏側への影響に注意するよう案内されています。

ベタとは、広い面を同じ色で塗りつぶす表現です。薄い色の場面の裏に濃いベタがあると、透けが目立つ場合があります。色の沈み方や細い線の残り方も含め、原画の印象をどこまで残したいかを担当者へ伝えます。

裏写りと裏移りは分けて相談します

裏写りは、反対側の文字や絵が紙越しに見えることです。裏移りは、印刷したインクが重なった紙などへ付いてしまうことです。見た目が気になる場合は、どちらが起きているのかを実物で伝えると相談しやすくなります。

紙を厚くする案だけでなく、濃い絵を置く位置や印刷条件も確認します。厚さを変えると、重さや製本の開き方にも影響します。問題のある場面だけを見るのではなく、表裏のページを並べて判断しましょう。明るい空や雪の場面など、白に近い色が広いページほど透けは目立ちやすいので、先にそこを確かめます。

原画に近い色が必要なら、色校正を検討します。紙見本は手触りや白さを見る材料です。自分の絵をその紙へ印刷した結果まで、見本だけで決められるわけではありません。

表紙のPP加工と箔押しは見せ方に合わせて選びます

PP加工は、印刷した表面に薄いフィルムを貼る加工です。光沢のある仕上げと、光沢を抑えた仕上げがあり、表紙やカバーの見え方が変わります。汚れや擦れへの配慮にも使われますが、使い方による傷みをなくす加工ではありません。

箔押しは、文字や模様に箔を押し付けて表現する加工です。光の反射を生かした表紙を考える場合に相談できます。細い線や小さい文字がどこまで表現できるか、使用する紙との相性や追加費用を確認してください。

本文用紙、表紙用紙、表面加工はそれぞれの項目として指定します。紙の名前だけで注文せず、紙見本を資料請求して比べましょう。過去の制作例も参考にしながら、好みの見え方を担当者と共有すると仕様を決めやすくなります。

出典・参考

紙と製本は、見本を手に取って

画面だけでは分からない紙の手触りや本の開き方を、紙見本と資料で確かめましょう。