水彩絵の具と筆で絵本の原画を描いている手元

この記事の要点

原画用の紙は、使う画材と描きたい線やにじみに合わせて選びます。水彩紙の紙肌と、繊維の向きを表す紙目は別の性質です。本に使う印刷用紙とは分けて考え、試し描きと取り込みで相性を確かめます。

原画用の紙と本に使う印刷用紙は別に選びます

原画用の紙は、自分が絵を描くための紙です。水の吸い方、色の乗り方、消しゴムへの強さなどが制作に関係します。一方、印刷用紙は、その絵を取り込んだデータを印刷して本にするための紙です。原画を描いた紙が、そのまま本の本文になるわけではありません。

水彩紙のざらつきを生かした原画でも、印刷ではその模様を画像として表します。本の紙の手触りまで水彩紙と同じになるとは限りません。絵の中に残す紙肌と、読者が触れる紙の質感は分けて考えます。本文の紙や表紙の加工は印刷用紙の記事で扱います。

まず使いたい画材を決め、候補の紙で小さく描いてみます。銘柄や価格だけで判断せず、よく使う技法に合うかを見ます。原画を縮小して本にする予定なら、紙肌が仕上がりの大きさでどう見えるかも確認しましょう。

水彩紙は水の吸い方と乾いた後の状態で比べます

水彩紙は、水を使う絵の具で描くための選択肢です。にじみやぼかし、乾いた色への重ね塗りを試すと、紙ごとの違いが分かります。水の量が多いと波打つ場合があり、紙の厚さや固定の仕方でも扱いやすさが変わります。

水彩紙の銘柄には、アルシュ、ワトソン、ワットマンなどの例があります。同じ銘柄でも種類や仕様が異なることがあります。販売状況も変わるため、名前だけを手掛かりに買い足さず、購入時に紙肌、厚さ、色などの表示を確認します。「どんな水彩技法にも必ず向く」とは考えないようにします。

試し描きでは、濡れている間の美しさだけでなく、乾いた後の色と紙の反りを見ます。下描きを消した場所へ塗り、消していない部分との違いも比べます。表面が傷むと、そこだけ絵の具がしみ込んで、意図しない跡になることがあります。

ケント紙は細い線と表面の強さを確かめます

ケント紙は、比較的滑らかな表面を持つ紙が多く、鉛筆やペンで細かな線を描くときの候補になります。輪郭や細かな模様をはっきり描きたい場合は、線が途切れにくいか、インクがにじまないかを試します。どの製品も同じ描き味とは限りません。

KMKケントやBBケントは銘柄の例です。名称や販売状況、仕様は購入先の現行表示で確かめます。白さや厚さ、表面の加工が違えば、同じペンでも滑りや色の見え方が変わります。古い紹介文の性質を、そのまますべての製品へ当てはめないようにしましょう。

滑らかな紙でも、消しゴムで何度もこすったり、水を多く使ったりすれば傷む場合があります。水彩の背景と細いペン線を組み合わせるなら、その順序で試します。下の色が乾いてから線を引いたときのにじみや引っ掛かりも確かめます。

画用紙は身近な画材との相性から選べます

画用紙は、画学紙とも呼ばれ、鉛筆、クレヨン、水彩などで使われます。手に取りやすい紙ですが、厚さや紙肌、表面の加工には違いがあります。どんな画材にも同じように使える万能な紙と考えず、予定する塗り方を試します。

クレヨンや色鉛筆では、紙の凹凸が白い点や線として残り、表現の一部になることがあります。細かな顔を描くときは、その凹凸が輪郭を邪魔しないかを見ます。水を使う場合は、乾いた後に反りや毛羽立ちが目立たないかを確かめます。

子どもの作品など、すでに画用紙へ描いてある絵は、用紙を変えるために描き直す必要があるとは限りません。元の絵をどう取り込むかから考えます。切り抜きや色の補正をする前に、本人の希望と保護者の了解を確認する進め方は原画の記事で紹介しています。

水彩紙の紙の目と繊維の向きを表す紙目は別です

水彩紙の説明でいう「紙の目」は、細目、中目、荒目など、表面の凹凸を指すことがあります。細かな線を描きたいか、かすれを生かしたいかで選ぶ手掛かりになります。ただし、この区分の見え方も製品で異なり、細目なら必ず滑らかとは言い切れません。

印刷や製本でいう「紙目」は、紙の繊維が主に並ぶ向きのことです。表面の細かさとは違い、曲げやすさや折りやすさ、湿気による動きなどに関係します。紙の説明を読むときは、表面の凹凸の話か、繊維の向きの話かを区別します。

原画では、紙肌が絵の一部になるかを見ます。ダミー本を折って作る際や、本の印刷用紙を決める際には、繊維の向きも関わります。判断に迷うときは、販売店や制作担当者に、紙へ描くのか、折って本にするのかという用途を伝えます。

紙の白さと凹凸は取り込んだ画像でも確認します

紙が白いか、少し暖かみのある色かによって、薄い絵の具の見え方は変わります。スキャンした後で紙の地色を白く補正すると、淡い色まで変わる場合があります。紙の色を残したいのか、絵だけを白い背景へ置きたいのかを先に決めて伝えます。

表面の深い凹凸や反りは、取り込む際の影やピントに影響することがあります。試し描きを取り込み、本の大きさで線、色、紙肌を見ます。家庭の機器での結果は本番と同じとは限らないので、仕上がりの確認は制作担当者と進めます。

紙を決めたら銘柄と仕様を控え、必要な場面で同じ条件を再現できるようにします。描く枠の大きさや余白は原画のサイズと入稿、提出方法はお手軽出版ドットコムの原画の作り方で確かめてから本制作へ進みます。

出典・参考

ページの並びと、原画の大きさを確かめる

ツールで構想を形にしたら、依頼先の原画の作り方も確認しましょう。