大人が子どもたちに絵本を読み聞かせている場面

この記事の要点

流通は、本を注文してもらうための仕組みです。販売を始めれば売れるとは限りません。ISBNや定価、流通コース、在庫の置き方を確認し、制作費は売上で回収できると決めつけずに計画しましょう。

書店やAmazonでの販売は流通の条件から考えます

家族へ直接渡す方法に加え、読みたい人が書店やAmazonで購入できるようにする方法があります。流通とは、注文を受けて本を届けるための仕組みです。著者の手元に完成本があるだけで、自動的に販売が始まるわけではありません。

お手軽出版ドットコムでは「書店流通は200部から(4コース)」と案内しています。一般的な少部数制作の条件とは別に考え、販売を希望する段階でコースと必要部数を確認します。

書店で注文できることと、店頭の棚に並ぶことは同じではありません。Amazonで扱う場合も、登録や在庫の条件を確認します。どの販売先で、どのように注文を受ける契約なのかを明らかにしてから申し込みましょう。

ISBNと販売用の情報は装丁を仕上げる前に決めます

ISBNは、本を識別するための番号です。販売を計画する場合は、番号を誰が手配するか、書名や著者名をどの表記で登録するかを流通の担当者へ確認します。似た書名がある場合も、自分の本を探してもらえるよう情報をそろえます。

書名、著者名、内容紹介、価格などは、表紙や奥付の情報と一致させます。表紙に使う絵と文章の権利、作者名の表記も先に確認します。販売ページへ画像を載せる利用が、依頼イラストの契約範囲に入るかも見ておきましょう。

裏表紙側には、ISBNやバーコードなどの表示を置く場所を確保します。表紙・カバーの作り方で、絵を配置する前に必要な表示を整理してください。流通を後から追加したい場合も、装丁や登録の変更が必要かを尋ねます。

料金例の「Amazonで販売」と「注文のみ対応」は違います

公開料金例金額判型・製本部数と流通
よくある形で約70万円ハードカバー B5判Amazonで販売 300部
色校正付き約106万円ハードカバー B5判注文のみ対応(書店流通) 500部

料金例の後者は、書店流通の「注文のみ対応」という条件です。前者の「Amazonで販売」と同じ内容の流通料金を比べた表ではありません。本色校や装丁デザイン、部数なども異なるため、差額を販売方法だけの費用と考えないでください。

料金例の全仕様を確認し、希望する販売先を担当者へ伝えます。各コースで注文を受ける範囲、在庫を預ける条件、著者への納品分がどうなるかを確認しましょう。

定価と売上の支払いは制作費と分けて考えます

定価を決めるときは、想定する読者と本の仕様を考えます。近い大きさや作りの本の価格を見ることも参考になりますが、制作費を印刷部数で割った数字だけで売価を決めると、買う人の受け止め方を見落とす場合があります。

同社の売上の支払い条件は「6ヶ月ごとに実売部数×本体価格の50%を支払い」です。本体価格は消費税を除いた価格を指します。印刷した冊数や流通へ預けた冊数ではなく、実売部数に基づく条件として読みます。

定価と本体価格の登録、売上報告の方法、振込に関する条件は契約時に確認します。制作費を必ず売上で回収できるとは考えず、売れなかった場合にも管理できる部数と予算にします。残った本の扱いも、流通を始める前に尋ねておきます。

大人向けの絵本は分類と内容紹介で読者を伝えます

分類コードは、本の内容などを区分して示す情報です。お手軽出版ドットコムでは「分類コードを自由に決められるので、大人向けの絵本として作る人もいる」と案内しています。絵本という表現方法を使いながら、大人が読む本として制作することもできます。

ただし、分類を選ぶだけで希望する読者へ届くとは限りません。どんな内容で、どんな時間に読んでほしい本かを紹介文に表します。子ども向けと取り違えられないよう、書名や表紙の印象とも合わせて確認してください。

実例には、大人向けとして制作された『大人の絵本 Looking for myself サガシニイコカ』があります。過去の制作例を見ながら、対象読者と絵の見せ方を考える材料にできます。

在庫と紹介の準備まで含めて販売を計画します

完成後は、販売用と著者が配る分を区別して管理します。イベントで自分が売る場合は、手元から減った冊数を記録し、流通側の在庫と混同しないようにします。追加制作が必要になったときの費用と期間も確認します。

本を紹介する文章や書影を準備し、興味を持った人が購入先を見つけられるようにします。読み聞かせや展示なども読者に内容を知ってもらう機会になりますが、販売数の保証にはなりません。書店流通の案内を読み、届けたい範囲に合う方法を相談しましょう。

出典・参考

届け方で迷ったら、相談窓口へ

販売や寄贈の希望、権利について気になる点を整理し、依頼前に相談しましょう。