ノートに書いたお話のメモと小さなラフスケッチ

この記事の要点

文字量に一律の正解はありません。対象年齢と読み方に合わせ、絵を見る時間も含めて調整します。絵で分かる説明を見直し、声に出して言葉のつながりとめくるタイミングを確かめましょう。

見開きの文字量は対象年齢と読む場面で変わります

絵本の文章を考えるときは、まず誰が声を出して読むかを決めます。大人の読み聞かせを聞く子と、自分で文字を追う子では、読みやすい言葉や文の長さが違います。対象年齢が同じでも、絵を探して遊ぶ本と、物語に耳を傾ける本では必要な文字量が変わります。

見開きとは、本を開いたときに向かい合うページです。見開きごとの文字数は、原稿の偏りを見つける目安になります。ただし、文字数を揃えることが目的ではありません。動きのある場面は短い言葉で進め、静かな場面は絵を眺める時間を残すなど、場面の役割から考えます。

ラフに実際の文章を置き、仕上がりの大きさで読んでみます。文字を小さくしないと収まらない場合は、文章を削るか、場面を分けるかを検討します。読み聞かせでは、読み終わるまでに絵を見る余裕があるかも確かめます。ページ割りと一緒に調整すると、前後の流れが見えます。

ひらがなと漢字は読者が意味をつかめる形で選びます

ひらがなだけなら、いつも読みやすくなるわけではありません。言葉の区切りが見えにくくなり、読み手が途中で意味を取り直すこともあります。漢字を使う場合は、想定する読者が読めるか、ふりがなを付けるか、絵から意味を補えるかを考えます。

分かち書きは、言葉のまとまりの間に空きを入れる書き方です。例えば「ねこが そっと あるきます」のように、聞いて分かるまとまりで区切ります。助詞だけが次の行に離れたり、固有の名前が途中で分かれたりしないよう、文字を配置した状態で見直します。

同じ言葉を、ある場面では漢字、別の場面ではひらがなにすると、意図しない読みにくさにつながります。登場人物の名前、呼びかけ、送り仮名などをメモにまとめると確認しやすくなります。表記を変える演出をするなら、その理由が読者に伝わるかを確かめましょう。

擬音語やくり返しは声の響きと絵を合わせます

擬音語は「ぽとん」「ざあっ」のように音を表す言葉です。音のない動きや様子も「そっと」「ふわふわ」などで表せます。説明を長く書くより、短い言葉と絵の組み合わせで、動きの速さや手触りを感じてもらえることがあります。

架空の例で、小さなしずくが落ちる場面を考えます。「ぽとん」なら静けさを残せますし、勢いのある言葉なら大きな動きに感じられます。文字の響きだけで決めず、描いた大きさや表情に合うかを読み比べます。強調の言葉が続くと、どこが大事な場面か分かりにくくなることもあります。

くり返す言葉は、子どもが次を予想し、一緒に声を出すきっかけになります。同じ調子を続けたいのか、途中で変化をつけたいのかを決めましょう。読み手の演技に頼らなくても伝わるかを確かめると、初めて読む人にも届く文章になります。

絵で伝わる説明を削ると文章の役割が見えてきます

推敲とは、書いた言葉を読み直して整えることです。まず文章の横に「絵で見えること」「言葉で初めて分かること」を書き出します。服の色、天気、立っている場所などが絵ではっきり分かるなら、文章でも説明する必要があるかを考えます。

例えば、雨の中で傘を差す絵に「雨が降っているので傘を差しました」と重ねると、同じ情報が続きます。そこへ主人公のつぶやきを置けば、絵には見えない期待や迷いを伝えられます。一方、くり返しを楽しむために絵と言葉を重ねる表現もあるので、重複を機械的に消す必要はありません。

文章のない絵本もあります。言葉を外したとき、登場人物の動きや時間の経過が分かるかを試してみましょう。文章をなくすこと自体を目標にせず、絵と言葉のどちらが伝えると心地よいかで選びます。削った文章は控えに残すと、比較して戻せます。

縦書きと横書きは綴じ方向も一緒に決めます

縦書きの本は右綴じ、横書きの本は左綴じにする形が一般的です。右綴じは表紙の右側、左綴じは左側が綴じられる形です。読む順序やめくる動きが変わるため、文章の向きは絵を仕上げる前に考えます。絵本では例外もあるので、文字の向きだけで自動的に決めず、読む動きを試します。

主人公が進む方向、吹き出しを読む順番、次のページへ視線が向かう位置を、文章と一緒に確認します。同じ見開きに文章のかたまりを離して置く場合は、どちらから読むか迷わない配置にします。縦書きと横書きが混在するなら、意図した順序で読めるか第三者にも見てもらいます。

文字を綴じ目や紙の端へ寄せすぎないことも大切です。文章を置く余白を先にラフで確保し、絵を完成させてから無理に詰め込まないようにします。配置の確認はラフとダミー本で進められます。

声に出して読むと息継ぎとめくりの問題が分かります

原稿だけでなく、絵と文章が並んだ状態で読みます。言いよどむ場所、息を継ぎたくなる場所、誰のせりふか迷う場所に印を付けます。句読点や改行を変えたら、意味が変わっていないかも読み直します。

別の人に初見で読んでもらうと、作者が頭の中で補っていた部分に気づけます。子どもに見せる場合は、反応を急いで聞き出さず、言葉をまねしたところや絵を指したところを記録します。読み聞かせの反応と照らし、伝わりにくかった箇所から直しましょう。

ページの並びと、原画の大きさを確かめる

ツールで構想を形にしたら、依頼先の原画の作り方も確認しましょう。