ノートに書いたお話のメモと小さなラフスケッチ

この記事の要点

絵本の企画は、読んでほしい相手と読まれる場面から始めます。目的に合わせて題材と表現を選び、絵・言葉・ページをめくる順序で何を伝えるかを短いメモにまとめましょう。

絵本を作る目的は読んでほしい相手から決めます

絵本は、絵と言葉、ページをめくる順序を使って伝える本です。まず「誰が、どこで、どのように読むか」を思い浮かべます。同じ動物のお話でも、寝る前に家族で読む本と、教室でみんなに見せる本では、絵の大きさや言葉の選び方が変わります。

作る理由を立派な言葉にする必要はありません。「孫と離れていても同じお話を楽しみたい」「身近な虫を観察するきっかけを作りたい」など、具体的な願いが出発点になります。読後に教訓を覚えてもらうことだけでなく、笑う、探す、静かに眺めることも目的です。

何を描くか迷ったら、相手と一緒に過ごした場面や、繰り返し聞かれたことをメモします。題材を広げすぎず、今回の本で届けたい体験を選びましょう。外した案も残しておけば、次の作品の材料になります。

子や孫・園や教室・企業では使う場面を具体化します

目的ごとに、最初に決めることを整理します。表の内容は企画を考えるための例です。家族への贈り物でも、後に販売を考えるなら公開する範囲を改めて見直します。

作る目的最初に決めること内容で確かめること
子や孫に贈る渡したい日、読む相手、家族内で共有する範囲家族だけに通じる呼び名をどう伝えるか
園や教室で使う読み聞かせか個別に読むか、共同制作の担当離れた位置から絵が分かるか
大人に届ける読者の関心、贈答用か自分で読む本か余白や絵から感じてもらいたいこと
企業や団体で配る配布先、利用場面、原稿を確認する責任者説明を詰め込みすぎていないか
絵本作家を目指す公募・持ち込み・自費出版のどれを考えるか未発表などの条件に合うか

園や教室で子どもの作品を使う場合は、本人と保護者に、本にする目的や見せる範囲を伝えます。企業や団体の本は、担当者ごとに修正の希望が変わらないよう、内容を決める人を先に揃えておくと進めやすくなります。

ジャンルは題材と読者の楽しみ方を組み合わせます

生活絵本は着替えや食事などの日常を、ものがたり絵本は登場人物の行動や気持ちの変化を扱えます。科学絵本は観察や仕組みを伝える形です。事実を扱う部分は、分かりやすさのために内容を変えてしまわないよう、根拠を確かめながら作ります。

昔話の絵本は語り継がれたお話を題材にできますが、既刊本の文章や絵をそのまま使えるわけではありません。ものの絵本は、身近な道具や乗り物などを見比べ、名前や特徴を楽しむ形です。何を描くかだけでなく、並べる順序にも意味を持たせられます。

しかけ絵本は紙の動きや開き方、赤ちゃん絵本は形や音のくり返し、写真絵本は写真の組み合わせが表現につながります。文字のない絵本もあります。これらの分類は重なるため、無理にどれかへ当てはめず、読者にしてほしい楽しみ方を考えます。

対象年齢と読み方を一緒に考えると言葉を選べます

対象年齢は、内容の難しさだけで決めるものではありません。大人が読む声を聞くのか、子どもが自分で文字を読むのかでも必要な工夫が変わります。赤ちゃんなら身近な形や音を楽しむ構成、物語を追う子なら出来事のつながりが見える構成、といった考え方ができます。

年齢だけで理解できる内容や集中の長さを決めつけず、実際の読み方を観察します。難しい言葉を使いたいときは、絵や前後の場面から分かるかを確かめます。読み聞かせでは聞けても、自分では読みにくい文章もあるためです。

好きな絵本を手に取り、絵の大きさ、文章の位置、めくりたくなる場面を観察すると参考になります。構成の工夫を学びながら、自分の題材と表現を探します。既存のキャラクターや文を写すこととは分けて考えましょう。

絵本と童話の違いは絵が物語を担う度合いです

絵本では、文章に書いていない気持ちや出来事を絵が伝え、めくることで場面が動きます。童話は、主に文章でお話を伝え、挿絵が理解や想像を助ける形が多くあります。境目は厳密ではなく、文章の長さだけでは分類できません。

自分の原稿を見て、絵がなくても同じ体験になるかを考えてみます。絵にしか出てこない小さな発見や、めくった先で分かる答えがあるなら、それを作品の中心に置けます。文章を短くしただけで絵本になるとは限りません。

大人向けの絵本も目的を整理して企画メモにします

大人向けでは、働くことや暮らしの記憶などを、絵と短い言葉で表現する方法もあります。お手軽出版ドットコムでは「分類コードを自由に決められるので、大人向けの絵本として作る人もいる」と案内しています。分類コードは本の対象や内容を示す区分です。選び方と販売の関係は絵本の流通で確認できます。

最後に、読者、読む場面、題材、読後に残したい感じを企画メモにします。公募を目指す場合は、公開する前に絵本作家になる道を確認してください。方向が見えたらお話の作り方へ進み、具体的な場面にしていきます。

出典・参考

ページの並びと、原画の大きさを確かめる

ツールで構想を形にしたら、依頼先の原画の作り方も確認しましょう。