この記事の要点
画材は描きたい雰囲気と、全場面を描き続けやすいかで選びます。淡い色や光沢、粉や凹凸は本にすると見え方が変わることがあります。原画を仕上げる前に紙と画材を組み合わせて試しましょう。
色鉛筆と水彩色鉛筆は線と塗り重ねを試して選びます
色鉛筆は、線を重ねたり筆圧を変えたりして濃淡を作れます。細かな表情を描く場合も、広い面をやわらかく塗る場合も、紙の凹凸と芯の硬さで仕上がりが変わります。強く塗ると後から色を重ねにくくなる製品もあるので、淡い色から試すと調整しやすくなります。
水彩色鉛筆は、乾いた状態で描いた線を、水を含ませた筆で溶かす表現もできます。線が残る程度は芯の硬さだけで決まらず、製品、水の量、紙によって違います。輪郭を残したいところと、背景をぼかしたいところを同じ紙で試します。
薄い線や淡い塗りは、縮小やスキャンで目立ちにくくなることがあります。最初から全部を濃く描くのではなく、試し描きを本の大きさにして見ます。主人公の表情や重要な輪郭が読めるかを確かめ、必要な部分を調整しましょう。
透明水彩は紙の白さと水の量で印象が変わります
透明水彩は、紙や下の色が透ける性質を生かして描けます。水を含ませた広い面のにじみや、乾かしてから重ねる色が表現になります。白い部分を残すときは、塗る前に場所を考えておくと進めやすくなります。
にじみ方は、紙の吸い込みや表面の加工にも左右されます。同じ絵の具でも、紙を変えると色の広がりや乾いた後の境目が違って見えます。消したり塗り直したりする操作で表面が傷む場合もあるため、修正の仕方も試し描きで確かめます。
原画の淡い色や細かな濃淡が、印刷でそのまま見えるとは限りません。紙の白さも絵の印象に含まれます。原画用の紙を選び、薄い色の差や明るい部分を確認用の見本として残しておきます。
アクリルは重ね塗りと厚みの扱いを考えて使います
アクリル絵の具は、一般に乾くと水で溶けにくくなり、その上に色を重ねられます。薄く溶いて水彩のように使う方法も、不透明な色で面を作る方法もあります。乾燥や光沢の出方は、製品、塗る厚さ、補助材によって変わります。
広い面をはっきり見せる絵にも使えますが、塗り重ねた部分が盛り上がると、スキャン時に影や反射が出る場合があります。画材の厚みそのものは、通常の紙への印刷では立体として再現されません。色の面を見せたいのか、筆跡の影も表現に含めたいのかを考えます。
厚塗りや硬い支持体を使う作品は、原画を仕上げる前に取り込み方法を確認します。凹凸のある作品は受け付けられない場合もあります。無理に押しつけたり薄く削ったりせず、作品の状態を伝えて相談しましょう。
カラーインクとカラーペンはにじみと色の変化を確かめます
カラーインクは液状で、線描や色の重なり、にじみを生かす表現に使えます。染料系か顔料系かなどで性質が違い、耐光性も製品や色によって異なります。「インクはすべて退色しやすい」「印刷で必ず鮮やかに出る」とは決めず、製品の表示と試し描きで確認します。
カラーペンは筆やパレットを広げずに描き始めやすく、ペン先の形で線の印象を変えられます。重ねた部分の色むらや紙の裏への抜け方は、インクと紙の組み合わせ次第です。裏面にも絵を描く前に、にじみや裏抜けが起きないかを見ます。
鮮やかな色や蛍光色は、画材の見た目と印刷の色が離れることがあります。原画の保管では光や湿気への配慮をし、重要な色は色の再現の工程で確かめます。色名だけでなく、使った製品と紙も控えておくと描き足すときに役立ちます。
パステルはぼかしの表現と粉の落ち方を確認します
パステルは、面を塗ったり、指や道具で色をぼかしたりする表現に使えます。ソフト、ハード、オイルなどで描き味や定着の仕方が違います。紙の目に色が乗るため、同じ画材でも滑らかな紙と粗い紙で見え方が変わります。
粉が落ちる作品は、スキャナーの面を汚したり、触れた部分の絵が変わったりするおそれがあります。定着剤を使うと色や質感が変化する場合もあるため、原画へいきなり使わず、製品の案内を読んで試します。取り込みのために必要な処置は、担当者に確認してください。
柔らかな色の境目や薄い粉の層も、印刷では違った見え方になる場合があります。粉の有無だけで受け付け可能と判断せず、画材、定着状態、凹凸を伝えます。送り方を含めた準備は原画の入稿で整理できます。
クレヨンと色紙のコラージュは形と質感を生かせます
クレヨンは、大きな線や面、紙の凹凸を拾う塗り方などができます。重ね塗りのしやすさは製品や筆圧で変わるため、混色できないと一律には考えません。強く塗った部分の光沢や盛り上がりは、取り込んだ画像で確認します。
色紙のコラージュは、紙を切ったりちぎったりして貼り合わせる方法です。輪郭の違いや紙の重なりで、手描きとは違う表現ができます。貼った端が浮くと影が強くなったり、輸送中に外れたりすることがあるため、固定の状態を確かめます。
厚い紙の重なりや立体的な素材は、スキャンできない場合があります。写真での取り込みなどが必要になるか、お手軽出版ドットコムのスキャニング案内を参照し、制作前に相談します。子どもの絵を使う場合も、本人の線や色をどう残すか一緒に考えましょう。
画材を決める前に同じ場面で試し描きをします
比較するときは、主人公の顔、広い背景、淡い色、細かな線を含む小さな絵を描きます。得意な表現だけでなく、苦手な部分を無理なく描けるかも見ます。組み合わせる画材は、にじみや接着への影響も確認します。
試し描きを仕上がりの大きさにして、線の太さと色の差を見比べます。家庭の印刷は本番の色を保証するものではありませんが、細部が小さすぎないかは確認できます。選んだ画材と紙をラフへ反映し、全体の雰囲気を揃えてから描き進めます。