この記事の要点
デジタル原画は、本の大きさを決めてから必要な画素数を計算します。解像度の表示だけでは鮮明さを判断できません。色の形式と提出方法を確認し、塗り足しや文字を含む完成データで点検しましょう。
必要な画素数は仕上がり寸法と解像度で考えます
画素は、画像を構成する小さな点です。同じ画素数の画像でも、小さく印刷する場合と大きく印刷する場合では細部の見え方が違います。描き始める前に本の仕上がりサイズを決め、片ページに使う絵か、見開きに使う絵かを分けて考えます。
必要な画素数は「印刷する長さをインチに換算した値×解像度」で求めます。幅と高さをそれぞれ計算します。画像の解像度は、印刷する長さに対して画素をどれだけ並べるかを表します。入稿案内ではdpiと表記されることがあり、カラー画像で350dpiを目安にするのは、その一例です。
350dpiなら一律に十分という意味ではありません。絵の内容や印刷方式によって適した条件は変わります。まず依頼先の指定を確かめ、端まで印刷する場合は塗り足しを含む寸法で必要な画素数を計算します。原画サイズ計算も寸法の整理に使えます。
配置後の実効解像度は画像を拡大すると下がります
実効解像度は、本の紙面に配置した大きさでの解像度です。小さな挿絵として描いた画像を、後から見開きいっぱいに引き伸ばすと、同じ画素を広く並べることになります。ファイルの設定欄に高い解像度が表示されていても、配置後には細部が粗くなる場合があります。
設定の数字だけを変えても、元の絵の細部が増えるわけではありません。補間という計算で画素を増やす処理もありますが、最初から十分な大きさで描いた画像と同じになるとは限りません。仕上がりサイズを大きく変えるときは、元画像を確認してから判断します。
確認するときは、画像の幅と高さの画素数、本に載せる幅と高さを一緒に見ます。線が滑らかか、小さな顔が読めるかを、紙へ出して確かめる方法もあります。画面を大きく拡大した印象だけで判断しないようにしましょう。
キャンバスには塗り足しを含めて枠を作ります
キャンバスは、描画アプリで絵を描く領域です。背景を端まで印刷するときは、仕上がりの枠の外に塗り足しを確保します。お手軽出版ドットコムでは3mmの塗り足しを案内しています。完成サイズぴったりで描き始めると、後から外側の絵を描き足す必要が出てきます。
仕上がり線と、外側の塗り足し、内側の安全域をガイドで分けます。ガイドは配置を確かめるための目印です。切れてはいけない絵や文字は仕上がりから3mm以上内側に置き、中央の綴じ目にあたるノドも避けます。必要な余白は原画の入稿で確認します。
見開きで描いた絵を提出時に分けるか、片ページごとに作るかは依頼先の指示に合わせます。書き出す際に塗り足しが消えないか、ガイドが絵として残らないかも点検します。断裁位置を示すトンボの付け方も、提出形式と一緒に確認してください。
RGBとCMYKは印刷方法の指定に合わせます
RGBは赤・緑・青の光で色を表す方式で、画面で使われます。CMYKはシアン・マゼンタ・黄・黒のインキで色を表す方式です。画面は光り、紙は周囲の光を反射して見えるため、画面の鮮やかさがそのまま紙に出るとは限りません。
印刷するからと、すべてのデータを先にCMYKへ変換する必要はありません。お手軽出版ドットコムの広演色・高精細印刷では、色を補正するためにRGBの画像データで入稿するよう案内しています。通常の印刷も含め、選んだ方式に合うデータの色の形式を確認します。
変換前の原稿を残し、色の変換を繰り返さないようにします。画面の明るさによっても印象が変わるので、大切な色は色の再現と校正で確かめます。広演色印刷でも、画面のすべての色を同じに再現できるという意味ではありません。
PDFと対応アプリはフォントも含めて確認します
お手軽出版ドットコムの公開案内にある対応形式は「Illustrator・Photoshop・InDesign(CS6まで)のデータ、フォントを埋め込んだPDF。Word・一太郎や画像データからのレイアウト依頼も可」です。利用するソフトの版や保存形式、画像の渡し方を確認してから作ります。ここにないアプリでも、提出できる形式へ書き出せるかを担当者に相談できます。
PDFは紙面の配置をまとめて渡すためのファイル形式です。PDFで入稿する場合はフォントを埋め込みます。文字の形の情報を含め、別の環境でも意図した文字で表示できるようにするためです。書き出したPDFで、文字の抜けや置き換わり、改行の変化を確認します。
Illustratorで提出する場合は、公開案内に沿ってトンボを付け、文字を図形にするアウトライン化を行います。修正用には、文字を編集できる元データも別に保存します。フォントの利用条件は著作権の記事で整理し、PDFにしただけで設定がすべて整うとは考えないようにします。
スマホやタブレットでは保存と書き出しまで試します
スマホやタブレットでも絵本の絵を描けます。選ぶ際は、必要な画素数のキャンバスを作れるか、仕上がりの寸法を把握できるか、提出形式へ書き出せるかを確認します。アプリが起動できることと、本に使えるデータが用意できることは別です。
レイヤーは、絵や文字を分けて重ねる層です。絵、文章、背景を別にしておくと、後から位置や表記を直しやすくなります。大きな画像では使える層や動作に制約が出ることもあるため、代表的な場面で制作から書き出しまで試します。
提出にはスクリーンショットではなく、元の制作データから書き出したファイルを使います。共有方法によって画像が縮小される場合もあるので、送った後の画素数も確かめます。元データの控えを別の場所に保存し、入稿前チェックリストでページ順、塗り足し、文字を点検して提出しましょう。