大人が子どもたちに絵本を読み聞かせている場面

この記事の要点

文と絵を誰が作り、どこまで使えるかを制作前に確認します。依頼料の支払いだけで自由に使えると考えず、表紙、販売紹介、増刷などの利用範囲を合意しましょう。子どもの絵も本人の気持ちを尊重します。

文と絵の共作では権利と名前の表記を先に決めます

文章を書く人と絵を描く人が違う場合は、それぞれの作品をどのように本へ使うかを話し合います。家族や友人との共作でも、親しい間柄だから説明が不要とは考えず、配る相手や販売の予定を共有します。

表紙に「文」「絵」と分けて表示するか、「作」とするか、どの名前を使うかを決めます。本名かペンネームか、名前の順序や大きさも、完成した表紙を見て合意しておくと安心です。奥付や販売ページでも表記をそろえます。

文章と絵の修正を誰が判断するか、意見が分かれたときにどう決めるかも確認します。自分の担当部分を作ったことだけで、本全体を自由に使えると判断しないようにします。増刷や別の形での発表についても、相談する相手を明らかにしておきましょう。

依頼イラストは譲渡と利用許諾を区別して契約します

利用許諾は、決めた条件で作品を使うことを認めてもらうことです。著作権の譲渡は、権利を移す契約です。イラスト制作を依頼するときは、どちらの取り決めなのかを確認し、何に使えるかを書面へ残します。

制作料を支払ったという理由だけで、あらゆる使い方ができるとは考えないようにします。絵本の本文、表紙、販売ページ、宣伝の画像など、希望する用途を具体的に伝えます。原画や画像データを受け取ることと、利用できる権利の範囲も分けて確認します。

決めること確認する内容の例
掲載する場所本文、表紙、帯、販売用の紹介画像
配布・販売贈答だけか、販売や電子版も含むか
加工切り抜き、色の変更、文字の重ね方
再利用増刷、別の本、展示、関連する制作物
作者名表記する場所、名前、表記の省略可否

修正の回数や完成データの受け渡しも、制作費と合わせて決めます。イラストを依頼する方法で希望を整理し、契約文の意味が分からない箇所は依頼先や専門家に確認してください。

既存のキャラクターや作品に似せて作らないようにします

好きな絵本を見て、めくり方や絵と文の役割を学ぶことはできます。一方、特徴のあるキャラクター、構図、文章などをなぞり、自分の作品として使うことは避けます。名前や色だけを変えれば問題がなくなる、と考えないようにしましょう。

イラストを頼む場合も、「この作品と同じように」という指示だけでは意図が伝わりません。「柔らかな線」「静かな場面」「余白を広く」といった、目指す表現の特徴を自分の言葉で説明します。自分の経験や観察したものから、独自の形を探します。

古い物語を題材にするときも、現在の絵本にある翻訳文や絵をそのまま使ってよいとは限りません。参考にしたものと、自分で作った表現を分け、利用が必要な素材は権利者や条件を確認します。

写真とフォントは書籍や販売での利用条件を確認します

写真は、持っている人と撮影した人が違う場合があります。家族や友人から画像をもらった場合も、本への掲載や販売に使えるかを確認します。写っている人には、掲載する写真と説明、公開する範囲を伝えましょう。

素材サイトの画像は、購入やダウンロードができたことだけで利用範囲を判断しません。印刷物への掲載、販売する本での利用、加工、作者名の表示などの条件を読みます。確認した利用規約と許諾の記録を原稿と一緒に残します。

フォントは文字の形をそろえるためのデータです。無料で入手できるものも含め、商用の書籍や表紙に使えるか、PDFに埋め込めるかを確認します。文字を画像に変えれば利用条件を無視できるわけではありません。入稿方法と利用条件の両方を確かめてください。

AI生成画像は利用規約と公募の条件を別々に確認します

AI生成画像を絵本に使う場合は、使ったサービスの規約を確認します。商用利用の条件、入力する参考画像の扱い、制作データを共有する範囲などを見ます。自分に利用の権限がない原画や写真を、当然に入力してよいと考えないようにします。

出力された画像についても、既存のキャラクターや作品に似すぎていないかを確認します。「AIで作った」という理由だけで、他者の権利との問題がなくなるとは限りません。利用したサービスや制作過程を記録し、不明な使い方は確認してから採用します。

公募には、サービスの利用規約とは別のルールがあります。ボローニャ国際絵本原画展の2027年展では、AIツールの使用が認められていません。公式要項の確認日は2026年9月25日です。要項は毎年変わるため、応募年度の公式情報を必ず確認します。

子どもの絵は本人と保護者へ掲載の範囲を伝えます

子どもの絵を載せるときは、描いた本人の気持ちを聞き、保護者にも本の内容と配布範囲を説明します。家庭内の贈り物なのか、園で配るのか、販売やウェブでの紹介もするのかを分けて伝えます。

名前、年齢、園や学校の情報をどこまで載せるかも相談します。絵の切り抜きや色の調整で、本人が大切にした部分が変わらないかを確かめましょう。返事がないことを了承と扱わず、確認が済んだ作品を使います。

最終的な掲載面を本人や保護者に見せ、了承した内容を記録します。配布範囲を後から広げる場合も、当初の了解に含まれるかを見直します。入稿前チェックリストに沿って、原稿と確認の記録をそろえてから印刷へ進めましょう。

出典・参考

届け方で迷ったら、相談窓口へ

販売や寄贈の希望、権利について気になる点を整理し、依頼前に相談しましょう。